初心者に向けたISO9001について 品質マネジメントシステム

この記事は、

  • 就職活動中の学生
  • 新入社員
  • 品質管理担当者になりたての人

に向けて書いています。

ISO9001とは

まず、難しく表現すると、「品質マネジメントシステムの国際規格」という表現になります。これ以上でもこれ以下でもないのですが、もう少しわかりやすく説明すると、

一貫したレベルのサービスを提供し続ける方法や、お客様に喜んでもらう方法が書かれている世界基準の組織の取扱説明書のようなものです。

この取扱説明書の中には、様々な角度から、サービス品質を一定に保つための方法が書かれているのですが、その方法をすべてクリアできていると第三者に認めてもらうと、ISO9001の認証を取得することができます。

ISO9001の内容

大きく7項目に分かれています。

  1. 組織の状況
  2. リーダーシップ
  3. 計画
  4. 支援
  5. 運用
  6. パフォーマンス評価
  7. 改善

です。この7項目が要求事項と呼ばれているものです。此処に書かれていることをクリアしなければ認証は取得できません。続いて、詳しい内容をピックアップして見ていきましょう。

組織の状況

組織及びその状況の理解

ここでは、組織の内部と外部にある課題を明確にしましょうということが書かれていますね。

そして、『その状況を監視しレビューし』と書かれていますが、これは先に掲げた課題を定期的に(3ヶ月毎、半年毎、1年毎等)どのような状況になっているか確認し、対策や改善の必要があれば軌道修正しなさいということです。

さらに言えば、内部や外部の課題を明確にするのはいつ、誰がやるのか決めておかなければいけません。例えば、期末に各部長が集まる会議の場で議題に上げ討議して決定するなどです。

4.4.1 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。 

これは、要求事項をクリアできる仕組みやルールを作りなさいということである。さらに、その作った仕組みを作りっぱなしにせず、更にいいものにするために、必要があれば変えていきなさいということである。つまり、仕組みを作り、仕組みを見直すための仕組みまで作れということです。

リーダーシップ

この章には、トップマネジメントの役割について書かれています。トップマネジメントというのは、部署の最高責任者のようなものです。〇〇長などがそれに当たります。

一般的に、トップマネジメントには様々な責任や権限が与えられなければいけません。何かの承認をおこなったり、何かの責任を負ったり、事あるごとに責任を負うのがこのトップマネジメントです。

トップマネジメントは品質マネジメントシステムと顧客に関することへのコミットメントを実証することが必要とされています。

また難しい言葉が出てきましたね。「コミットメント」を実証ってどういう状況でしょうか。まず、コミットメントの意味は、関与、参画、約束というような意味です。RIZAPさんのキャッチフレーズにもありますが、『結果にコミットする』というのは結果を約束するということになりますね。

それではもう一度トップマネジメントのコミットメントを実証するということについて考えてみましょう。

ISO9001の要求事項の5.1.1には、次のように書かれています。

ISO9001の要求事項を画像化したもの。リーダーシップとコミットメントについて

これはつまり、トップマネジメントになった者は、(a)~(j)について関わっておきなさいということです。誰かに任せっきりにならないようにしろということです。その証拠を紙でもなんでいいから残しておきなさいということです。なぜ、こんな要求事項があるのかについてですが、この項目が意味していることは、もしも、会社の業績がこの品質マネジメントシステムで思うようにいかなかった場合はトップマネジメントの怠慢だよと言いたいのだと思います。そのことを肝に銘じておきなさいという項目だと考えています。

逆に言えば、要求事項通りにしっかりと考えて、行動を起こし、定期的に見直しを行えていれば、うまくいかないわけがないということだと思います。

信じて一つ一つ丁寧に取り組んでいけば明るい未来が待っています。

計画

PDCAでいう、Pの部分ですね。

ここでは、計画を行うときには、リスクや機会について考慮するようにしなさいということが書かれています。それはなぜか、

  1. 品質方針や品質目標を達成するため
  2. 望ましい影響を増大させるため
  3. 望ましくない影響を防止、低減させるため
  4. 改善を達成するため

です。

計画する時はどんな時でも、この考え方は必要になってきます。例えば、新しい商品を売ろうと思った時、何を考えますか?

仕入れ先はひとつでいいのか?2社から仕入れていれば一つだめになっても何とか商売は続けられますよね。これもリスクに対する取り組みになると思います。

他にも、新商品が売れるかどうか不安な時は、どの程度売れそうか調査しますよね?これもリスク、機会への取り組みになります。

ただ、このように思考した証拠を残しておくことが大切です。会議の場で話し合って議事録に残すもよいと思います。ただ、どうやって残していくのかは決めておかなければいけません。

支援(資源)

ここでは会社が所持し、業務に使用するための物についての要求事項が書かれています。この中に以下のような要求事項があります。

測定器に関するISO9001の要求事項を画像化したもの。トレーサビリティ。

会社が提供する製品やサービスが要求事項に適合しているかどうかを証明するために使う測定器はちゃんとしたものを使いなさいということが書かれています。また難しい言い回しですね。簡単に言うとお客様にサービスを提供するために使用する測定器はちゃんと検査されているものを使用しなさいということです。

7.1.5.2(a)には定期的に校正を行いその記録を持っておきなさいということが書かれています。この文言があるがために、会社が所持している計測器は定期的に校正を行わなければならないのです。さらに(b)で校正されているかどうかの識別ができるようにしないといけない、(c)で勝手に調整が行われたり、使用環境が校正証明書で証明されている環境と全く違うものにならないようにしないといけません。

校正証明書についてわからない人は、別記事に書かせていただきますので、そちらをご覧ください。とにかくここでは、会社で持っている計測器は定期的に校正を行い校正証明書を残していかないといけないということが要求されているのです。

まとめ

駆け足でしたがピックアップして説明してみました。ほかにも説明してほしい要求事項があればご連絡いただければと思います。

ISOなんてまじめにやっている会社あるのか!?と思われる方がいるかもしれません。しかし、内容は本質的なことが書かれています。どんな経営の本より役に立つと思います。本気で取り組んでみませんか。

他の会社が本気でしていないことに本気で取り組むことで、差が生まれてくるのです。人がやらないことをやることが勝つコツです。時間をかけて取り組んだことは他社にまねされにくいのです。つまり負けにくくなる会社ができます。そんな会社を目指すためにISO9001に取り組んでいきましょう。

     

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