皆さん、返報性のルールって知っていますか?
誰かに何かをしてあげると、何かお返しをしなければいけないという義務感を感じてしまうことです。皆さんも、何かしてもらったら、ありがたいなーと思って、そのあと何かお返しをしたげないといけないと考えませんか??
誰かから、お土産をもらったら、今度は自分がお土産を買ってお返ししようと思いませんか?
そういうことです。
こんな実験も紹介されています。
『ある大学教授がちょっとした実験を行いました。クリスマスカードを見ず知らずの人々に送ってみました。すると、ほとんど返事は来ないと思っていたのに、山のように返事が戻ってきたとさ・・・』
つまりカードを受け取った人たちは、見ず知らずの大学教授に返事のカードを贈ったということです。
これが返報性のルールです。
返報性のルールはどのように働くか
ある学者が実施した実験には次のようなものがあります。
『「美術鑑賞」という名目のもとに行われた実験で大学生(Aさん)がもう一人の学生(Bさん)と一緒に、絵画の作品を評価します。ただし、Bさんは学者の助手ですがAさんはそのことを知りません。この前提の中、実験は2つの異なった条件のもとで行われます。1つ目はBさんがAさんに対して小さな親切をします。(実験の休憩時間に二人分の飲み物を購入してきた)2つ目は親切なことを何も実施しません。
さて、すべての絵画の評価が終わって、実験監督が席を外したところでBさんはAさんにあるお願いをします。
「自分は新車が当たるくじ付きのくじを販売していて、最も多くチケットを売れば賞金がもらえる。1枚100円のチケットを何枚かかって欲しい」と頼んだのです。
すると、美術鑑賞の時に親切にされた人は、されなかった人より多く購入したことは言うまでもありませんが、明らかにBさんに対して借りがあると感じており、何もされなかったときに比べて2倍も多い枚数を購入したのです。』
これは、返報性のルールがどのように働くか示す簡単な例です。
返報性のルールの威力
返報性のルールは、他者からの承諾を得るための手段として、様々なところで利用されている。皆さんも気づかないうちに返報性のルールを利用されているかもしれません。
でも、なんで、そんなにこのルールが使われているのでしょうか。
その理由の一つに威力があります。このルールには皆さんが想像している以上の力があります。相手に借りがあるという気持ちが無ければまず断るような内容の要求でさえ、受け入れさせてしまうのです。さらにこの「借り」という力は、普段、要求をOKするか断るかの判断に影響を及ぼす要因とは比べ物にならないくらい大きな力です。
例えば、飲み会に誘われたとき行くか行かないか決めるために気にすることは何ですか?メンバーですか?予算ですか?お店?料理?・・・など様々な要因がありますよね。でも、「借り」という力はそんなこと関係なく最優先されることになるということです。
それではここからは、先に紹介した実験の続きです。
先の実験をBさんに対する好感度が高いグループと好感度の低いグループに対して実験をしました。すると、何も親切をしなかったときはBさんへの好感度が高い人たちの方がチケットをたくさん買ってくれました。
これは普通に考えれば予想がつく結果ですね。
返報性のルールが本領を発揮するのは、ちょっとした親切を実施したときです。
この時は、Bさんへの好感度に関係なくみんな親切にされる前の2倍のチケットを買ってくれました。
これは、Bさんのことをよく思っていなくても、Bさんから親切にしてもらえるとBさんのお願いを聞いてくれるということです。好感度は関係ないというです。
これが返報性のルールの威力がすごいと言われる所以です。
なんとも思っていない人から「好きだ」と告白されると、なんかその人のことが気になってきてしまい気が付いたら好きになってしまっていたということは無いですか?
スーパーの試食コーナー。食べた後に商品の紹介をされたら、つい買ってしまった経験は無いですか??
どちらも、好感度は良いとは言えない状態ですよね。でも、好きと言われるという親切、無料で味見することができるという親切をしてもらっていることで、相手の思惑にはまってしまっているのかもしれません。
このように、日常でも返報性のルールを使っている人はたくさんいます。
返報性のルールは、威力が威力だけに、悪用されてしまうことも多々あります。
返報性のルールを意図的に使っている人(営業マン等)を相手にするときは、気を付けて対応することが必要ですね。