日本の建設業界は、労働人口の減少、少子高齢化の加速などもあり、遠くない将来には担い手不足が懸念されています。その結果、建設業がうまく機能しなくなることによって、将来の社会環境インフラの整備、更新など地域に維持・管理などに支障をきたす恐れがあります。担い手の確保、教育、育成は建設業界の活性化に必要不可欠です。いかにして、建設業界の人材を確保するのか、確保した人材を辞めさせないためにはどうすればよいのか、建設業界の最重要の課題となっています。
建設産業政策会議
建設産業の将来展望や建設業関連制度の基本的な枠組みを検討する場として、平成28年10月に設置されました。
建設産業は今後も、インフラや住宅などの整備、老朽化への対応、さらには災害時の復旧など国民生活の安心・安全を支えるとともに、都市再生、地域活性に貢献する役割を担っていく必要があります。しかし、生産年齢人口が減ってきているため、個々の建設業社の取り組みだけでは、担い手を十分確保することは困難になってきています。つまり、ここで言いたいのは、「担い手の確保」が最重要課題であるということです。
しかし担い手を確保しただけで満足していてはいけません。担い手を確保し続けるか確保した人財を辞めないように育てて続けていかなければ担い手は一向に増えていきませんよね。そのためにこの建設産業政策会議が取りまとめた報告書には、次のように記述されています。
”建設産業が今後も産業と成り立っていくうえで源泉となる「現場力」を維持するとともに、「超スマート社会」の実現など国内外の「未来づくり」一翼を担う若者に夢や希望を与えることが出来る産業であり続けるためには、個々の企業の一層の取り組みに加え、個々の企業を超えた施策が必要である。”
若者に夢や希望を与えるとありますがどのように夢や希望を与えるのでしょうか。とても気になりますよね。どうすれば、若者が働きたいと思うのか、どう雄すれば若者が辞めなくなるか。・・・・・。その施策は次の項目が挙げられています。
- 働き方改革
- 生産性向上
- 良質な建設サービスの提供
- 地域力の強化
- 施策横断的に取り組むべき重要な課題
これらの項目が挙げられていますが、私は何より仕事内容に賃金があっていないと感じています。休みは少ない、給料安い、拘束時間が長い、ルールを守らない、・・・。これでは誰も働きたいと思うわけがないと思います。まずは労働環境の改善が必要です。
働き方改革
働き方改革が世間では叫ばれています。建設業界も同じです。2017年に働き方改革実現会議で決定された「働き方改革実行計画」においては、9つの分野19項目からなる対応策が示されています。
- 非正規雇用の待遇の改善
- 賃金引上げ、生産性向上
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方ができる環境
- 子育て、介護、障害等と仕事の両立
- 外国人労働者の受け入れ
- 女性が活躍しやすい環境
- 教育の充実
- 高齢者就業促進
これらの計画を踏まえ、建設業でも業界を挙げた取り組みが進んできています。国土交通省では、建設業における働き方改革をさらに加速させるために「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しています。主な内容を以下に示しておきます。
- 週休二日制の後押しをする
- 週休二日の実施に伴う必要経費を的確に計上するために、労務費等の補正の導入、共通仮設費、現場管理費の補正率を見直す。
- 適正な工期を設定する。
- 「適正な工期設定等のためのガイドライン」を見直す。
- 技能、経験に見合った給与を実現する。
- 施工能力の見える化。建設技能者の能力評価制度の策定。技能者の就業履歴、資格等の蓄積するシステムの稼働。
- 社会保険加入をスタンダードにする
- 社会保険に未加入の建設企業は、建設業許可及び更新を認めないよう仕組みを構築する。
- 生産性向上に取組企業を後押しする
- 中小企業の積極的なICT活用を促すため、公共工事の積算基準等を改善する。
- 仕事を効率化する
- 工事書類の作成負担を軽減するために、公共工事における基準類を改定、IoTなどの導入で施工品質向上と省力化を図る。
- 限られた人材・資機材の効率的な活用を促進
- 将来的な現場技術者の減少を見据え、技術者配置要件の合理化。